株式分割 2005 8 29

 最近は、株式分割が発表された銘柄に対して、人気がありません。
それは、多くの投資家が、株式分割に存在する問題点に気づいたからでしょう。
 こうした問題について、長らく放置され、
個人投資家は、実際に損をすることで、身を以て、問題点に気づいたのだと思います。
 よく言われたのが、信用取引の担保になっている銘柄が、株式分割を行った場合です。
この場合、担保価値が、分割割合に応じて減少してしまいますので、
信用取引を行っている個人投資家には、不利になってしまうでしょう。
 もうひとつの問題点が、制度信用取引で買った銘柄が、株式分割を行った場合です。
この場合は、大きな損失が出る場合があります。
 こうしたケースでは、子株の権利は受け取れず、
その権利は入札で処分され、信用取引の建て単価が、修正されるケースが多いと思います。
「分割前の建て単価 − 権利処理価格 = 修正後の建て単価」。
 ここで、大きな問題は、権利処理価格です。
これは、入札で決められますので、相場環境や入札環境に、大きく左右されます。
 たとえば、40万円の株が、1対2の株式分割になったとします。
理論的に考えれば、40万円の2分の1ですから、20万円となるでしょう。
 現物株で買っている場合は、だいたい、そういう株価に近くなるでしょう。
しかし、制度信用取引で買っている場合は、単純に、2分の1にはなりません。
 権利処理価格が問題なのです。
この価格は、入札で決められますので、相場環境が悪かったり、
その銘柄自体に人気がないと、入札価格が、かなり安くなります。
 ですから、権利処理価格が、理論的な分割価格の20万円よりも低くなってしまい、
たとえば、19万円や18万円になってしまうことも、あり得るのです。
 すると、制度信用取引で買っていた場合、どうなるか。
「分割前の建て単価 − 権利処理価格 = 修正後の建て単価」。
40万円 − 18万円 = 22万円。
つまり、制度信用取引で、22万円で買ったことになるのです。
 しかし、現実の株価は、20万円程度ですから、
これでは、分割が行われた後、
大幅上昇か、ストップ高にならないと、元が取れないのです。
(これが、1対2の分割だから、まだ、いい方で、
もっと大きな分割ですと、影響が、さらに大きいと思います)。
 もちろん、入札で、人気があって、権利処理価格が高くなる場合も、あり得ますが、
どうも、そういうケースは、よほど相場環境がよい時だけだと思います。
 そういうわけで、制度信用取引で買った銘柄に対して、株式分割が発表されますと、
基本的には、「売り」で、なるべく高値で売りたいということになると思います。
 ここで、最大の問題点は、
「制度信用取引で買った銘柄が、株式分割を行った場合に、
相場環境や入札環境が悪いと、大きな損失が発生する場合がある」ということを、
個人投資家は、あまり知らされていないことです。
 個人投資家は、実際に、損をして、実体験して、
こうした株式分割に存在する問題点に気づくのです。
 最近、こうした問題が、ネットで話題になっていましたので、
もしかすると、「知らなかった」という人が多いのではないかと思い、書いたのです。
 こうした問題は、以前も、問題になっていたと思います。
その時も、知人や友人が、話題にしていました。
 もちろん、こうした株式分割に対する対応は、証券会社によって違うと思いますので、
取引をしている証券会社に聞いてみる必要があります。







































トップページへ戻る

過去の記事コーナーへ戻る